登り始めて時間はどんどん進み、夜中の2時半にようやく新6合目に到着した。
(もともと5合目だったらしいが、あまりにも先が長いということもあり、6合目に改名)
山小屋の灯りはついていて、まだ人が中で騒いでいるのがよくわかった。
中からおじさんが出てきて、上(山頂付近)では渋滞しているから、ゆっくり登って
時間をずらした方が利口だと。ご来光はこの天気ならばどこでも見れるからと、
アドバイスをくれた。トイレも快くタダで貸してくれた(200円のチップイントイレ)
なんでもこの日は1万人が登頂しているとか・・・。聞いて唖然としたが、その後、
その言葉の意味がよぉ~くわかることになる。
15分くらい休憩し、6合目を出た。7合目までは「2時間だね」と、軽く言われた。
2時間・・・。ここまで2時間、さらにここから2時間・・・。だけど、意外なほど数時間という
時間はあっという間に過ぎていく。今のペースだと2時間半かかる上に、最近の日の出は
4時50分前後、ぎ、ギリギリだなぁと話し合いながら上へ上へ。
途中、本6合目で休憩を入れる。立ち止まり、腰を下ろすと汗で濡れた背中と、シャツの
間に富士山の冷たい風が流れ込み、一気に体温を下げる。雨は降らなくても、富士山では
防寒着が必要なのはこのためでもある。再び15分で本6合目を後にする。
視線より下にあった月が徐々に上へ上がっていく様子がわかる。気付くと空は明るみ、
月が薄っすらと白っぽくなっていた。いよいよ夜明けが近い。既に7合目へ向かう前に
雲を越え、下には雲海が広がっている。どうやら晴れて、ご来光が望めそうだ、
登山道矢印の「あと10分」がたとえ嘘でも許せそう・・・。7合目に到着・・・。
そして、いざ御来光。神秘的に東の空が輝く・・・。7合目には有名な山小屋があって、
宿泊客がざわざわと出てきていた。20人くらいはいたかな、と。
寒さに震えながらも、徐々に現れてくる太陽をじっくりと見つめる。雲海の先から出てくる
その姿は実際に現地にて感じるべき。富士登山の醍醐味の一つと言える。
この日、面白いことに山頂には「笠雲」がかかっていて、山頂は御来光が拝めなかった
ようだ。7合目~8合目はきれいにみれたんだろうと、下山後5合目のお土産屋さんが教え
てくれた。目の前には金色の太陽、上を見上げればオレンジ色の笠雲。なんとも
一度で二度おいしいとはこのこと。
(続く)